あなたは何に
悩んでいますか?

忘れないでください。
弁護士に相談できることを。

  • 土日祝日も
    相談可能

  • 初回 1時間
    相談無料
    (離婚・相続のみ)

Introduction

弁護士紹介

一生懸命仕事をこなし、
少しでも社会をよりよく出来るように努めています。

初めまして。横浜で弁護士をしております海老名毅と申します。

私が弁護士として大切にしていることは、「依頼者様の立場にたち、解決の選択肢を提示し、さらに代理人として依頼者様の権利利益を最大限実現すること」です。

弁護士に頼むというと敷居が高いと思われる方が多いと思います。
ですが、弁護士というのは問題に直面している依頼者様のわかりにくい不安や悩みを解決する為に働くことを仕事としています。

ーある程度自分で知識を持たないと相談もできないんじゃないか?
ーこんなこと聞いたら怒られるんじゃないか?

いいえ、違います。
私が弁護士として依頼者様に聞きたいのは、
「何に困っていて、どうなりたいのか?」それだけです。
それを聞ければあとは私の法律知識とこれまでの経験、ノウハウを最大限に活かして、依頼者様の立場と本音に基づき解決を提示するための手段を最大に示すことが出来ます。

そのためにも話しやすいことがとても大事ですね。
依頼者様の不安や悩みをお伺いしつつ一つ一つ状況を丁寧に確認しながらお答えしますので、安心してご相談ください。

弁護士の写真

Reason

選ばれる6つの理由

  • 01

    幅広い経験と実績

    多様な事案の経験と解決実績

    豊富な経験と卓越した法的知識で、複雑な案件も丁寧に解決。依頼者様の悩みに寄り添い、最適な法的支援を提供します。

  • 02

    真摯な相談と調査

    依頼者への真摯な姿勢

    あなたの悩みに真摯に向き合い、細やかな聞き取りと徹底的な調査で、最適な解決策をともに見出します。

  • 03

    継続的な学習と経験の蓄積

    深くて広い法律知識と経験

    多様な事例に柔軟に対応することで豊富な経験と深い法律知識を培い、継続的な学習により、常に最新の法律知識を維持し、依頼者様に最善のサポートを提供します。

  • 04

    依頼者本位の解決

    個別に最適な解決策をご提案

    依頼者様本位の解決を重視し、分かりやすい説明と料金体系、長期的サポートを提供し、最適なオーダーメイド解決策を提案します。

  • 05

    迅速かつ的確な対応

    依頼者様との信頼関係を重視

    最新の情報と、豊富な経験と実績に基づいて、迅速かつ的確なアドバイスで、安心と解決策をご提供します。

  • 06

    信頼関係の構築

    あなただけの悩みに寄り添います

    専門知識や経験豊富な弁護士が、誠実な対応とアフターフォローで、長くお付き合いできる関係を築き、あなたの人生をより良い方向へ導きます。

Service

取り扱い業務

離婚・男女問題

  • 協議離婚

  • 離婚裁判

  • 養育費

  • 親権

  • 離婚調停

  • 審判離婚

  • 財産分与

  • 国際離婚

  • 別居

遺産相続

  • 遺産調査

  • 遺言書作成

  • 遺言の有効性調査

  • 相続放棄・限定認定

  • 不動産相続・分割

  • 遺言執行代理・遺言整理

  • 相続後の財産管理

  • 遺産分割

  • 遺留分請求

  • 遺産の使い込み

  • 特別受益

  • 寄与分

  • 相続人調査

犯罪・刑事事件

  • 逮捕・拘留

  • 捜査段階での対応

  • 起訴・不起訴

  • 示談交渉

  • 量刑

  • 再犯防止

  • 執行猶予

  • 名誉挽回

  • 被害者支援

  • 少年事件

  • 国際的な刑事事件

借金・債務整理

  • 過払い金請求

  • 法人債務整理

  • 闇金被害

  • 自己破産

  • 個人再生

  • 任意整理

  • 債権の消滅時効

不動産・建築

  • 賃料・家賃交渉

  • 建物明け渡し・立退き

  • 借地権

  • 欠陥住宅

  • 相続放棄・騒音・振動

  • 土地の境界線

交通事故

  • 相手方保険会社との示談交渉

  • 後遺障害認定申請

  • 損害賠償額の算定

  • 相手方の過失割合の主張

  • 法的手続き

  • 保険金請求

  • 医療機関との連携・治療の相談

  • 事故現場検証

企業法務・顧問弁護士

  • 企業法務関連

  • 契約書作成・チェック

  • M&A(合併・買収)

  • 会社法関連

  • 知的財産権

  • 労働問題

  • 債権回収

  • コンプライアンス

  • 不動産取引

  • スタートアップ支援

  • 官公庁や行政への対応

インターネット・IT問題

  • ソフトウェアの著作権

  • ドメインに関するトラブル

  • 個人情報の漏洩

  • 著作権侵害

  • 商標権侵害

  • インターネット取引に関するトラブル

  • 名誉棄損

  • 不正アクセス

  • サイバー攻撃

  • 電子契約

債権問題

  • 債権回収

  • 任意売却

  • 債権回収

  • 債権の譲渡

  • 抵当権の実行

  • 保証人に関する問題

  • 債権担保の設定

  • 債権に関する契約書の作成・チェック

  • 債権に関する訴訟

  • 債権に関する和解

  • 債権の分割

労務問題

  • 解雇

  • 雇止め

  • 賃金

  • 労働時間

  • 休日・休暇

  • ハラスメント

  • 労働契約

  • 労働災害

  • 労働組合

  • 退職

  • 外国人の労働問題

  • 外国人の労働問題

医療問題

  • 医療事故

  • 医療事故・医療過誤

  • 同意のない医療行為

  • 医療に関する情報の漏洩

  • 医療費に関するトラブル

  • 医療機関とのトラブル

  • 介護医療のトラブル

  • 医療ミスに関する損害賠償請求

  • 医療訴訟

知的財産権・不正競争防止

  • 特許権侵害

  • デザイン権侵害

  • ノウハウ漏洩

  • ライセンス契約に関するトラブル

  • 知的財産権の取得・維持

  • ソフトウェアの著作権

  • ドメインに関するトラブル

  • 著作権侵害

  • 商標権侵害

詐欺被害・消費者被害

  • 契約に関するトラブル

  • 商品・サービスの不良

  • 不当な勧誘

  • 架空請求

  • 特殊詐欺

  • 金融商品に関するトラブル

  • 不動産取引に関するトラブル

  • 消費者契約法

  • 個人情報の漏洩

  • インターネット取引に関するトラブル

税務訴訟・行政事件

  • 課税処分への不服

  • 申告漏れや過少申告に対する更正処分

  • 延滞税や重加算税の賦課

  • 税務調査への対応

  • 税務訴訟の手続き

  • 行政処分への不服

  • 行政指導への対応

  • 行政不服審査請求

  • 行政訴訟

  • 行政機関との交渉

国際・外国人問題

  • 国際取引契約

  • 海外進出

  • 貿易に関する問題

  • 国際的な訴訟・仲裁

  • 外国人のビザ・滞在許可

  • 国際相続

  • 国際的な民事事件

  • 外国人の労働問題

  • 外国人の労働問題

  • 国際離婚

  • 国際的な刑事事件

その他

  • 成年後見

Flow

相談から依頼の流れ

  • 法律相談

    01

    法律相談

    離婚、相続の場合は、原則初回の1時間無料。

  • 弁護委任契約

    02

    弁護委任契約
    代理権発生

    弁護委任契約を締結させていただきます。

  • 交渉等開始

    03

    交渉等開始

    内容証明郵便作成・発送、相手方との協議で、
    解決を試みます。

  • 法的手続

    04

    法的手続

    判決、審判、調停合意等により、解決を試みます。

  • 強制執行

    05

    強制執行

    相手方が上記の法的手続によって
    確定した義務を履行しない場合、
    強制的に義務を履行させます。

Case

解決事例

  • 離婚の事例画像

    離婚・男女問題

    テスト片付けても片付けても家をゴミ屋敷にする妻との離婚【30代男性|横浜市】テスト

  • 離婚の事例画像

    離婚・男女問題

    タイトルタイトルタイトルタイトルタイトルタイトルタイトルタイトルタイトル

  • 離婚の事例画像

    近隣トラブル

    一定の慰謝料をもらい、納得いく解決ができました。

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Voice

依頼者の声

  • 依頼して本当によかったです。
    ありがとうございました。

    60代 女性

    遺言の発見後、遺産分割協議が錯誤により無効とされ、弟さんに不当利得の返還請求をしました。感情に配慮しながらも粘り強く交渉し、最終的に請求を実現できました。

  • 金額について争いがありましたが、比較的早期に解決してよかったです。

    30代 男性

    妻と話をすると感情的になるため困難でした。弁護士に矢面に立ってもらいすべてをお任せすることによって、自分の希望していた態様での解決となりよかったと思います。

  • おかげさまで、早急に離婚することができ、満足しています。

    30代 男性

    妻に対する慰謝料請求よりも、できる限り離婚を成立させることを強く望んでいました。そのため調停での話合いですぐに離婚に応じれば金銭請求をしないことを強調し、離婚を成立することができました。

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弁護士の写真 弁護士の写真

Column

コラム

  • お知らせ

    自己紹介

  • お知らせ

    全日本不動産協会西湘支部にて「相続イロハ」の講演を行いました。(平塚)

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FAQ

よくあるご質問

  • 離婚に関するFAQ

  • 相続に関するFAQ

  • 不動産・建築に関するFAQ

  • 借金・債務整理に関するFAQ

  • 交通事故に関するFAQ

  • 労働問題に関するFAQ

  • 債権回収に関するFAQ

  • 医療問題に関するFAQ

  • 詐欺被害・消費者被害に関するFAQ

  • 税務訴訟・行政事件に関するFAQ

  • 知的財産権・不正競争防止に関するFAQ

  • 国際・外国人問題に関するFAQ

  • インターネット問題に関するFAQ

  • 犯罪・刑事事件に関するFAQ

  • 企業法務・顧問弁護士に関するFAQ

  • 相談から依頼の流れに関するFAQ

  • 弁護士費用に関するFAQ

Access

事務所紹介

みなと綜合法律事務所

弁護士 海老名 毅

電話

050-6877-5677

FAX 045-641-2845

営業時間 9:00〜22:00

〒231-0021
神奈川県横浜市中区日本大通14 KN日本大通ビル4F

[ 最寄駅 ]
みなとみらい線 日本大通駅
JR根岸線・横浜市営地下鉄ブルーライン 関内駅

[ 定休日 ]
みなと綜合法律事務所:日祝
(時間外もできる限り対応させていただきます。)

Colombo

弁護士が斬る刑事コロンボ

楽しんでくださる方がいらっしゃれば幸いです。

  • 刑事コロンボ

    第00話 はじめに

    私は、少年時から、しばしば金曜ロードショーで放送される「刑事コロンボ」シリーズが大好きでした。その後金曜ロードショーが終了し、私は、大学生になって、レンタルで第1話から観たことを覚えています。しかし、時が経ち、「刑事コロンボ」をしばらく観ることがなくなりましたが、令和2年4月より、NHKのBS1で4K放送となって毎週放送するようになりました。 とても嬉しい思いで第1話の「殺人処方箋」を観ると、昔観た記憶が無くなっており、とても新鮮な思いで楽しむことができました。それと同時に、私は現在弁護士ですので、職業病からか、ついつい、犯人には何罪が成立するのだろう、犯人が犯行を否認したら裁判はどうなるのだろう、コロンボの捜査は適法なのだろうか、ということを思うようになっていました。そこで、どうせならちゃんと検証しようと思い立ちました。このような目線で物語を見ると、より一層楽しく感じるのです。 この点、弁護士の目線でコロンボの捜査手法を見ると、総じて、犯人を観念させ、自白を引き出すということに力点を置いているように思います。まさに理想的な捜査手法といえるでしょう。 今後、基本的には、現在放送しているNHKのBS1の放送回に合わせて順次掲載し、ゆとりのあるときに第1話以降分も掲載していきたいと思います。 野暮だと感じられる方もおられると思いますが、楽しんでくださる方がいらっしゃれば幸いです。 なお、以下の掲載は、多分にネタバレを含みますので、実際に「刑事コロンボ」の各回をご覧になった方のみお読みいただければと思います。この観点から、あらすじも割愛させていただきます。また、この私のブログを作成するに当たっては、コロンボブロガーの大先輩でおられるぼろんこさんのブログを大変参考にさせていただいております。各物語の背景等の総括は、是非ぼろんこさんのブログをご覧になってください。

  • 刑事コロンボ

    第01話 殺人処方箋

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事で、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるので、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、レイ・フレミング(以下「レイ」)で、精神科医です。 妻キャロル・フレミング(以下「被害者」)に対し、背後から首を絞めて絞殺した行為について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、レイの工作したシナリオは、「レイと被害者はロサンゼルスからアカプルコに向けて離陸しようとする飛行機内で口論となり、被害者は独りで飛行機を降り帰宅した。帰宅後、被害者は、財物目当ての強盗によって殺害された。その際、レイは、上空を飛ぶ飛行機内にいたので、無関係である。」というものです。 まず、物語の中で、レイは、観念した様子を見せたものの、自白はしていません。そのため、裁判時においても自白がない前提とします。 次に、検察側の証拠としては、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 ジョーン・ハドソン(以下「ハドソン」)証言(ほぼすべて立証できます) サングラス、ブルーのウールのドレス、キットの手袋、かつら(犯罪供用物件) ロサンゼルス国際空港記録(レイの飛行機での往復上、行きの際の荷物は重量が6キログラム超過であったが、帰りの際の荷物は重量が2キログラムしか超過していなかった→レイは荷物を4キログラム分アカプルコで処分したようである→レイ盗まれた物をアカプルコに持ち出して処分した可能性がある) 物語上登場する証拠は、上記の程度しかなく、少ないです。しかし、1の証言は決定的です。 なお、ハドソンが証言したとしても、その証言は、コロンボがハドソンの自殺を偽装することによってレイの本音を引き出し、それをハドソンに聞かせることによって生じるものです。このようにコロンボがレイを欺罔していることから、このコロンボの捜査手法は不当であるようにも思われ、そこから派生したハドソンの証言の証拠能力が否定され得るようにも思われます。 しかし、コロンボの欺罔によったとしても、レイはあくまで自発的に供述しており、レイの供述の自由は侵害されていません。 また、捜査が不当だとしても、ハドソンの証言は、コロンボの欺罔そのものから生じたものではなく、コロンボの欺罔によって現れたレイの本音を聞いたことによって生じたものであり、コロンボの欺罔の影響は間接的です。 そのため、ハドソンの証言の証拠能力が失われるということはないでしょう。 また、物語上は存否が不明ですが、「(被害者の写真を確認し、ハドソンの被害者に扮した変装を見た上で)自分が見たのは被害者本人ではなく、被害者に変装したハドソンである。」旨のスチュワーデスの証言があれば、なお有罪認定が確実でしょう。 以上から、証拠は十分といえ、本件は有罪と認定することが可能でしょう。 ⑶ レイの余罪 物語上のレイの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、有罪と認定できるか等については、割愛します。 被害者のブルーのウールのドレスを持ち出した行為について、窃盗罪が成立します。ただし、親族相盗例によって処罰はされません。 おそらく自宅は持ち家だと思いますが、仮に賃借物件だったり被害者またはその親族の所有だったりした場合、被害者殺害直後に窓ガラスを破壊した行為について、器物損壊罪が成立します。 被害者殺害直後に被害者のネックレス、指輪等のアクセサリー類を窃取した行為、また、置物と食器も被害者所有であったならこれらを窃取した行為について、窃盗罪が成立します。ただし、親族相盗例によって処罰はされません。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 犯行態様 背後から被害者の首を絞めるという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 被害者に不貞が発覚してしまうこと、資産家である妻を失ってしまうこと、多額の慰謝料を支払わせられること、被害者に不貞の事実を広められてしまうこと、そしてそのための自身の精神科医としての名声が失墜すること、を防止するために犯行を行ったものと認められます。不貞がレイ自身によってなされたことからすると、大変自己中心的で悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、少なくとも、犯行態様と動機は悪質です。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。 ⑸ その他の犯人への制裁 レイは被害者の法定相続人であり、被害者の遺産を相続できるのが原則ですが、被害者を殺害しているので、相続人の欠格事由に当たり、被害者の遺産の相続権を失います。 被害者に父母や兄弟姉妹等の遺族がいれば、レイは、遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 確実に医師免許が取り消されるでしょう。これにより、以後、医師を名乗れず、医業(医療行為)ができなくなります。 医師会に所属していれば、当該医師会から除名等の懲戒処分を受けるでしょう。 常識的に考えて、ハドソンから別れを告げられるでしょう。 ⑹ 備考 コロンボが無令状でレイの自宅から被害者の写真を窃取した行為について、窃盗罪が成立します。ただ、レイが怒っていないので、不問となるでしょう。 ジョーンの罪責について 撮影所からかつらを窃取した行為について、たとえ一時使用目的であっても不法領得の意思が肯定され、窃盗罪が成立すると思われます。 被害者になりすましてクリーニング店に電話をしてクリーニングの依頼をしたり、飛行機内で口論の芝居をしたりした行為については、微妙なところですが、レイの一連の犯行計画上重要な役割を担ったこと、自らもレイと婚姻等することを目的としていたことから、殺人の共同正犯が成立すると考えます。仮に殺人の共同正犯とまでいえないとすると、上記行為は殺人の幇助犯、証拠偽造罪となります。 ⑺ レイはどうすればよかったか ここでは、何とかレイが犯罪の実行を避ける道がなかったか検討します。 レイは、ハドソンと不貞をした以上、被害者との離婚、慰謝料、財産分与の支払を免れることはできません。しかし、被害者がそのことを公にすることは、被害者自身も世間体を気にして実行しないことを期待できますし、仮に実行されても名誉棄損となるので、レイは慰謝料請求等の反撃ができます。また、レイは精神科医として能力と名声がありそうですので、本当に被害者がレイの不貞を公表したとしても、十分再起を図ることができたでしょう。 以上から、当たり前な結論となってしまいますが、レイは、被害者からの離婚等の請求を甘んじて受けるべきでした。 ⑻ レイに完全犯罪は可能であったか 上記のとおり、決め手になるのはハドソンの証言です。 まず、レイは、ハドソンになりすました女性の遺体をきちんと確認し、遺体がハドソンでないことを確認すべきでした。 次に、これを確認しなかったとしても、コロンボに対し、ハドソンとの不貞関係を否定したり、不貞関係を肯定しても悲しむふりをしたりすべきでした。 これを行えば、他の証拠のみでは有罪となり得ることは困難であり、完全犯罪となり得たでしょう。

  • 刑事コロンボ

    第02話 死者の身代金

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、レスリー・ウイリアムズ(以下「レスリー」)で、弁護士です。 夫でありレスリーの法律事務所の代表弁護士であるポール・ウイリアムズ(以下「被害者」)を拳銃で射殺した行為について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、レスリーの工作したシナリオは、「被害者は、自動車を運転中、一時停止標識に従って停止した際、何者かに略取された。レスリーは略取犯の要求に従って身代金30万ドルを提供したものの、被害者は略取犯によって殺害された。その際、レスリーは、警察に協力を仰ぐ等して被害者を心配していた。」というものです。 まず、物語の中で、レスリーは、自白をしていました。そのため、裁判時においても自白がある前提とします。 次に、検察側の証拠としては、自白を含め、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 レスリーの自白(ほぼすべて立証できます) 被害者の遺体、解剖調書、弾道検査報告書 (被害者は190cm以上の長身である) (被害者が撃たれた銃は22口径であり、22口径の銃の弾丸は人体を貫通しない→現場に弾痕等の痕跡が残るのを犯人は嫌がったようである) (弾道は低い位置から高い位置へ流れており、立っていた被害者が座っていた犯人から射撃されたようである→Bと相まって、犯人は、被害者が気を許すような身近な人物のようである) 銀行の記録、マーガレットがレスリーから取得した現金、それらの報告書(身代金とマーガレットの取得した現金の記番号が同一である→レスリーは被害者のために支払ったはずの身代金を所持していた) 現金投下場所の実況見分調書(現金投下場所には、バッグだけが落ちており、中にあったはずの身代金の現金はなかった→略取の犯人にとってはバッグごと持ち去ればよいのに、わざわざバッグから中の現金を抜いて現金のみを持ち去ったことは不自然である→バッグの中には元から身代金が入っていなかった可能性がある) コロンボ証言 「レスリーは、略取されている被害者との通話上で、被害者の身を案じる言葉を発しなかった」(レスリーは被害者を心配していなかった) 「レスリーは、被害者の死亡を知らされて、遺体の発見場所や死因を全く尋ねなかった」(被害者を愛する妻としては不自然であり、レスリーは被害者の死亡を知っていた可能性がある) レスリー友人パット証言「事件の夜にレスリーから頼まれ、翌日にレスリーの職場に架電して一言『テニス』と述べて電話を切った」(略取犯からの最初の架電とされていた架電は、パットによって発信されたものであった) レスリーの職場の電話機、その報告書(レスリーには、好きなタイミングで好きな相手に架電してあらかじめ録音した音声を流すことが可能だった→レスリーには略取の犯人からの脅迫、身代金要求の電話を工作することができた→3~6と相まって、そもそも被害者の略取はレスリーによって捏造された架空の出来事である) 被害者の娘マーガレット・ウイリアムズ(以下「マーガレット」)証言「被害者は、レスリーとの離婚を望んでおり、レスリーと別居して法律事務所も閉鎖するつもりだった。そのことについてレスリーは本意でなかった。」(レスリーには被害者を殺害する動機があった) 被害者車両の実況見分調書(運転席のシート位置が前方に調節されていた→2Aと相まって、最後に運転した者は長身の被害者ではなく、小柄な者であった→最後に運転した者がレスリーであることと矛盾しない) 1自白がある上、3~7が強力な証拠であり、さらに8動機も証明できます。 以上から、証拠は十分といえ、本件は有罪と認定することが可能でしょう。 なお、1レスリーの自白と3現金は、コロンボがマーガレットに協力させてレスリーから不相当な方法で得たものですが、下記のとおりマーガレットがレスリーから金をせしめた行為は、違法であるとまではいえず、証拠能力には影響しないと考えます。 ⑶ レスリーの余罪 物語上のレスリーの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 略取の犯人という架空人名義の身代金要求書を作成した行為について、無印私文書偽造罪が成立します。 拳銃を所持していた行為について、銃刀法上の拳銃不法所持罪が成立します。 アの文書を送付した行為について、無印私文書行使罪が成立します。 被害者の自動車を運転し乗り捨てた行為について、自動車の窃盗罪が成立します。 存在しない被害者の略取を警察に申告して警察に捜査をさせた行為について、偽計業務妨害が成立します。 銀行預金口座を解約したり所有株式を売却したりして身代金30万ドルを工面した行為について、それが被害者所有であった場合、銀行や証券会社に対する詐欺罪が成立します。 マーガレットに対して顔面を殴打した行為について、暴行罪に該当しますが、まさにマーガレットによって拳銃の銃口を向けられて脅迫されている最中に行ったものですので、正当防衛が成立します。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 犯行態様 拳銃で人を撃つという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 被害者から別居と法律事務所の閉鎖を宣言され、地位と財産の保持に固執したことからの犯行であり、自己中心的で、悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、少なくとも、犯行態様と動機は悪質ですし、余罪も多いです。弁護士という法律の専門職でこれを遵守しなければならない立場にある者の犯行であり、その他の情状も悪質です。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。 ⑸ その他のレスリーへの制裁 レスリーは被害者の法定相続人であり、被害者の遺産を相続できるのが原則ですが、被害者を殺害しているので、相続人の欠格事由に当たり、被害者の遺産の相続権を失います。 マーガレットら遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 物語上明らかではありませんが、仮にマーガレット養子縁組していれば、マーガレットから離縁を強いられるでしょう。 所属する弁護士会から懲戒され、おそらく除名となり、弁護士資格を失うでしょう。 弁護士として受任中の業務が継続不能となるため、依頼人から弁護士費用の全部または一部の返金を請求され、さらに場合によっては損害の賠償も請求され、支払わなければならないでしょう。 ⑹ 備考 コロンボの罪責 マーガレットと共謀の上、マーガレットがレスリーに対してけん銃を向け空砲を放った行為について、レスリーの生命、身体に対する害悪の告知にあたり、脅迫罪の共同正犯が成立します。 マーガレットの罪責 レスリーを逮捕されるべく被害者の自動車の鍵の複製した行為について、証拠偽造罪が成立します。 コロンボに対してaによってレスリーが犯人であると申告した行為について、虚偽申告罪が成立します。 コロンボを平手打ちした行為について、公務執行妨害罪が成立します。 上記アと同様、脅迫罪の共同正犯が成立します。 レスリーに対して2万5,000ドルの5年分12万5,000ドルをせしめた行為について、特に暴行、脅迫は認められず、また、レスリーは任意で金員を交付しているので、恐喝罪には該当しないと考えます。 ⑺ レスリーはどうすればよかったか そもそも被害者から別居、離婚等を要求された以上、被害者の意思が変わらない限り、遅かれ早かれ離婚は成立してしまいます。また、被害者は、法律事務所をレスリーに譲るつもりであったようです。レスリー自身も有能な弁護士であったようですので、別居、離婚を受け容れた上で、弁護士としての業務に邁進すべきでした。 ⑻ レスリーに完全犯罪は可能であったか 自白をせず、マーガレットに交付する現金を身代金の記番号と違うものになるよう、マーガレットに支払う金員を自ら借金をして形成するなどしておくべきでした。そうなると、逮捕の決め手となった身代金がなくなり、その余の証拠では、被害者の殺害や一連の略取事件の捏造までは立証できず、完全犯罪となり得ていたでしょう。

  • 刑事コロンボ

    第03話 構想の死角

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、ケン・フランクリン(以下「フランクリン」)で、「メルビル夫人」シリーズを執筆したコンビ作家の片割れです。もっとも、フランクリンは、実際は執筆する能力がなく、作品を全く書いていません。 第一に、コンビ作家のもう一方の片割れであるジム・フェリス(以下「ジム」)に対し、拳銃で射殺した行為(第1行為)について、殺人罪が成立します。 第二に、食料品店「ラ・サンカ雑貨店」店主のリリー・ラ・サンカ(以下「ラ・サンカ」)に対し、シャンパンの瓶で殴打して撲殺した行為(第2行為)について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、フランクリンの工作したシナリオは、 第1行為については「ジムは、オフィスで仕事をしている最中、何者かに射殺された。その際、フランクリンは、サンディエゴの別荘に居たので、無関係である。」、 第2行為については「ラサンカは、ボートで湖に出たところ、頭を打って湖に落ちて溺死した。」、というものです。 まず、物語の中で、フランクリンは、自白をしたとみていいでしょう。そのため、裁判時においてもフランクリンの自白がある前提とします。 次に、検察側の証拠としては、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 フランクリンの自白(ほぼすべて立証できます) 第1行為について ジムの遺体、その報告書 公園前通り237番地所在のフランクリン自宅の実況見分調書 (高級絵画の真作が多数ある→フランクリンは浪費家である→フランクリンは金に困っていた可能性がある) (配達された手紙の封が開けてある→フランクリンは帰宅後自宅に入る前にジムの遺体を発見したようであるが、通常であればショックと驚愕を感じているはずであり、それにもかかわらず手紙を開封するのは妙である) ジムの妻ジョアナ・フェリス(以下「ジョアナ」)証言 「フランクリンは、『メルビル夫人』シリーズを全く執筆しておらず、ただ、出版社との交渉、テレビ出演、インタビューの応対、映画会社への売込み等を行うのみであった」 「ジムはシリアスな作品の執筆を望み、フランクリンとのコンビの解消をし、既にシリアスな作品の執筆を開始していた(Aと相まって、フランクリンはジムにコンビを解消されると印税等の収入を失い、また、世間はコンビ解消後に作品を発表しないフランクリンについて創作の能力がないと思うはずである) 「ジムは、いつも、創作のアイデアで思い付いたことを、マッチ箱やたばこのケースなどメモしていた」 保険会社記録(フランクリンとジムは、互いに多額の保険をかけ合っていた→ジムが死亡すればフランクリンへ多額の保険が支払われる→Bア、Cイと相まって、フランクリンにはジムを殺害する動機があった) ジムのメモ「AがBを殺すに際し、Bを郊外の別荘に連れて行き、自宅の女房に電話させる。『追い込みの仕事。でオフィスにいる』と。そしてズドン。」(フランクリンの第1行為の内容そのものである) 第2行為について ラ・サンカ遺体(頭部に外傷がある) 「ラ・サンカ雑貨店」実況見分調書 (ダイニングルームの床シャンパンのコルクの栓が落ちている) (「メルビル夫人」シリーズの「殺人処方箋」があり、裏表紙にフランクリンによる「我がリリーへ愛を込めて」とのサインがある) フランクリン名義の預金口座の銀行記録(第2行為の事件の当日1万5,000ドルの引出しがあり、翌日には同額の預入れがある→フランクリンは、何らかの理由で1万5,000ドルが必要がであったが、すぐに必要がなくなったようである→フランクリンがラ・サンカから第1行為についてゆすられており、ラ・サンカを殺害したと仮定すれば、合理的である) コロンボ証言 「ラ・サンカ殺害の夜、フランクリンに宛てて別荘に電話してが、誰も出なかった」(フランクリンには、ラ・サンカ殺害時のアリバイがない) 「サンディエゴの別荘への出発直前、フランクリンはシャンペンを2本用意していた(フランクリンは、サンディエゴの別荘で誰かとシャンペンを飲む予定であったようである→Bアと相まって、フランクリンが「ラ・サンカ雑貨店」でラ・サンカとシャンペンを飲んでいたことと矛盾しない すべてそれ自体脆弱な証拠です。物語上は2Eが決め手となっていますが、フランクリンが自白をしなければ、フランクリンの各犯行を証明できるものでは全くありません。もっとも、フランクリンは自白をしているので、各証拠は自白を補強するものとなり、結局、証拠全体で大きな証明力を得るに至ります。 以上から、証拠は十分といえ、本件は通常なら有罪と認定することが可能でしょう。 ⑶ フランクリンの余罪 物語上のフランクリンの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 拳銃を所持していた行為について、銃刀法上の拳銃不法所持罪が成立します。 ジムのオフィス内の什器備品等を滅茶苦茶にした行為について、器物損壊罪が成立します。 ジムのオフィスで酒を飲んでから自動車を運転した行為について、道路交通法上の酒気帯び運転罪が成立するでしょう。物語上、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態とまでは評価し辛いと感じたので、酒酔い運転罪ではなく、酒気帯び運転罪としました。 ラ・サンカ殺害後にラサンカに渡した1万5,000ドルを窃取した行為について、窃盗罪が成立します。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 第1行為について 犯行態様 拳銃で人を撃つという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 金に困っていたところへ、ジムからコンビ解消を告げられて今後の収入が得られなくなってしまったため、保険金目当てで行った犯行であり、極めて自己中心的で、大変悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 第2行為について 犯行態様 後頭部をシャンペンの瓶で殴打するという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 第1行為についての口止料として金1万5,000ドルを要求されたところ、口封じのための犯行であり、ラ・サンカの要求が恐喝に当たり得ることを考慮すると、やや悪質と評価されるに留まります。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、2人を殺害している上、少なくとも犯行態様と動機は悪質ですし、余罪もあります。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。死刑もあり得ます。 ⑸ その他の犯人への制裁 ジョアナらジム、ラ・サンカの各遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 マスコミによって、全く文章の創作能力がないことが暴露されるでしょう。 酒気帯び運転罪について、体内のアルコール量によって、運転免許停止または取消処分となります。 ⑹ 備考 ラ・サンカがフランクリンに対して第1行為の口止料として1万5,000ドルを要求しこれを受け取った行為について、恐喝罪が成立します。 ⑺ フランクリンはどうすればよかったか ここでは、何とかフランクリンが犯罪の実行を避ける道がなかったか検討します。 まず、そもそも、全く文章の創作能力がないのであれば、ジムとのコンビ作家として世に出ず、持ち前の営業能力を存分に活かすべく、マネージャーとして振る舞うべきでした。 次に、分不相応な贅沢品の購入は控えるべきでした。 そして、ジムからコンビ解消を申し向けられたとしても、これをやむを得ないものとして受け容れ、贅沢品を売却してしばらく生計を立て、持ち前の営業能力を活かす他の道を模索すべきでした。ジムとのコンビ解消の際、ジムとの間で、フランクリンには全く文章の創作能力がないことを口外しないという約束を取り付けることができた可能性もあります。 さらに、ラ・サンカから恐喝された時点で、自首すべきでした。 ⑻ フランクリンに完全犯罪は可能であったか 上記のとおり、証拠はそれぞれ脆弱です。自白をしなければ、完全犯罪となり得たでしょう。

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    第00話 はじめに

    私は、少年時から、しばしば金曜ロードショーで放送される「刑事コロンボ」シリーズが大好きでした。その後金曜ロードショーが終了し、私は、大学生になって、レンタルで第1話から観たことを覚えています。しかし、時が経ち、「刑事コロンボ」をしばらく観ることがなくなりましたが、令和2年4月より、NHKのBS1で4K放送となって毎週放送するようになりました。 とても嬉しい思いで第1話の「殺人処方箋」を観ると、昔観た記憶が無くなっており、とても新鮮な思いで楽しむことができました。それと同時に、私は現在弁護士ですので、職業病からか、ついつい、犯人には何罪が成立するのだろう、犯人が犯行を否認したら裁判はどうなるのだろう、コロンボの捜査は適法なのだろうか、ということを思うようになっていました。そこで、どうせならちゃんと検証しようと思い立ちました。このような目線で物語を見ると、より一層楽しく感じるのです。 この点、弁護士の目線でコロンボの捜査手法を見ると、総じて、犯人を観念させ、自白を引き出すということに力点を置いているように思います。まさに理想的な捜査手法といえるでしょう。 今後、基本的には、現在放送しているNHKのBS1の放送回に合わせて順次掲載し、ゆとりのあるときに第1話以降分も掲載していきたいと思います。 野暮だと感じられる方もおられると思いますが、楽しんでくださる方がいらっしゃれば幸いです。 なお、以下の掲載は、多分にネタバレを含みますので、実際に「刑事コロンボ」の各回をご覧になった方のみお読みいただければと思います。この観点から、あらすじも割愛させていただきます。また、この私のブログを作成するに当たっては、コロンボブロガーの大先輩でおられるぼろんこさんのブログを大変参考にさせていただいております。各物語の背景等の総括は、是非ぼろんこさんのブログをご覧になってください。

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    第01話 殺人処方箋

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事で、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるので、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、レイ・フレミング(以下「レイ」)で、精神科医です。 妻キャロル・フレミング(以下「被害者」)に対し、背後から首を絞めて絞殺した行為について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、レイの工作したシナリオは、「レイと被害者はロサンゼルスからアカプルコに向けて離陸しようとする飛行機内で口論となり、被害者は独りで飛行機を降り帰宅した。帰宅後、被害者は、財物目当ての強盗によって殺害された。その際、レイは、上空を飛ぶ飛行機内にいたので、無関係である。」というものです。 まず、物語の中で、レイは、観念した様子を見せたものの、自白はしていません。そのため、裁判時においても自白がない前提とします。 次に、検察側の証拠としては、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 ジョーン・ハドソン(以下「ハドソン」)証言(ほぼすべて立証できます) サングラス、ブルーのウールのドレス、キットの手袋、かつら(犯罪供用物件) ロサンゼルス国際空港記録(レイの飛行機での往復上、行きの際の荷物は重量が6キログラム超過であったが、帰りの際の荷物は重量が2キログラムしか超過していなかった→レイは荷物を4キログラム分アカプルコで処分したようである→レイ盗まれた物をアカプルコに持ち出して処分した可能性がある) 物語上登場する証拠は、上記の程度しかなく、少ないです。しかし、1の証言は決定的です。 なお、ハドソンが証言したとしても、その証言は、コロンボがハドソンの自殺を偽装することによってレイの本音を引き出し、それをハドソンに聞かせることによって生じるものです。このようにコロンボがレイを欺罔していることから、このコロンボの捜査手法は不当であるようにも思われ、そこから派生したハドソンの証言の証拠能力が否定され得るようにも思われます。 しかし、コロンボの欺罔によったとしても、レイはあくまで自発的に供述しており、レイの供述の自由は侵害されていません。 また、捜査が不当だとしても、ハドソンの証言は、コロンボの欺罔そのものから生じたものではなく、コロンボの欺罔によって現れたレイの本音を聞いたことによって生じたものであり、コロンボの欺罔の影響は間接的です。 そのため、ハドソンの証言の証拠能力が失われるということはないでしょう。 また、物語上は存否が不明ですが、「(被害者の写真を確認し、ハドソンの被害者に扮した変装を見た上で)自分が見たのは被害者本人ではなく、被害者に変装したハドソンである。」旨のスチュワーデスの証言があれば、なお有罪認定が確実でしょう。 以上から、証拠は十分といえ、本件は有罪と認定することが可能でしょう。 ⑶ レイの余罪 物語上のレイの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、有罪と認定できるか等については、割愛します。 被害者のブルーのウールのドレスを持ち出した行為について、窃盗罪が成立します。ただし、親族相盗例によって処罰はされません。 おそらく自宅は持ち家だと思いますが、仮に賃借物件だったり被害者またはその親族の所有だったりした場合、被害者殺害直後に窓ガラスを破壊した行為について、器物損壊罪が成立します。 被害者殺害直後に被害者のネックレス、指輪等のアクセサリー類を窃取した行為、また、置物と食器も被害者所有であったならこれらを窃取した行為について、窃盗罪が成立します。ただし、親族相盗例によって処罰はされません。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 犯行態様 背後から被害者の首を絞めるという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 被害者に不貞が発覚してしまうこと、資産家である妻を失ってしまうこと、多額の慰謝料を支払わせられること、被害者に不貞の事実を広められてしまうこと、そしてそのための自身の精神科医としての名声が失墜すること、を防止するために犯行を行ったものと認められます。不貞がレイ自身によってなされたことからすると、大変自己中心的で悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、少なくとも、犯行態様と動機は悪質です。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。 ⑸ その他の犯人への制裁 レイは被害者の法定相続人であり、被害者の遺産を相続できるのが原則ですが、被害者を殺害しているので、相続人の欠格事由に当たり、被害者の遺産の相続権を失います。 被害者に父母や兄弟姉妹等の遺族がいれば、レイは、遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 確実に医師免許が取り消されるでしょう。これにより、以後、医師を名乗れず、医業(医療行為)ができなくなります。 医師会に所属していれば、当該医師会から除名等の懲戒処分を受けるでしょう。 常識的に考えて、ハドソンから別れを告げられるでしょう。 ⑹ 備考 コロンボが無令状でレイの自宅から被害者の写真を窃取した行為について、窃盗罪が成立します。ただ、レイが怒っていないので、不問となるでしょう。 ジョーンの罪責について 撮影所からかつらを窃取した行為について、たとえ一時使用目的であっても不法領得の意思が肯定され、窃盗罪が成立すると思われます。 被害者になりすましてクリーニング店に電話をしてクリーニングの依頼をしたり、飛行機内で口論の芝居をしたりした行為については、微妙なところですが、レイの一連の犯行計画上重要な役割を担ったこと、自らもレイと婚姻等することを目的としていたことから、殺人の共同正犯が成立すると考えます。仮に殺人の共同正犯とまでいえないとすると、上記行為は殺人の幇助犯、証拠偽造罪となります。 ⑺ レイはどうすればよかったか ここでは、何とかレイが犯罪の実行を避ける道がなかったか検討します。 レイは、ハドソンと不貞をした以上、被害者との離婚、慰謝料、財産分与の支払を免れることはできません。しかし、被害者がそのことを公にすることは、被害者自身も世間体を気にして実行しないことを期待できますし、仮に実行されても名誉棄損となるので、レイは慰謝料請求等の反撃ができます。また、レイは精神科医として能力と名声がありそうですので、本当に被害者がレイの不貞を公表したとしても、十分再起を図ることができたでしょう。 以上から、当たり前な結論となってしまいますが、レイは、被害者からの離婚等の請求を甘んじて受けるべきでした。 ⑻ レイに完全犯罪は可能であったか 上記のとおり、決め手になるのはハドソンの証言です。 まず、レイは、ハドソンになりすました女性の遺体をきちんと確認し、遺体がハドソンでないことを確認すべきでした。 次に、これを確認しなかったとしても、コロンボに対し、ハドソンとの不貞関係を否定したり、不貞関係を肯定しても悲しむふりをしたりすべきでした。 これを行えば、他の証拠のみでは有罪となり得ることは困難であり、完全犯罪となり得たでしょう。

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    第02話 死者の身代金

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、レスリー・ウイリアムズ(以下「レスリー」)で、弁護士です。 夫でありレスリーの法律事務所の代表弁護士であるポール・ウイリアムズ(以下「被害者」)を拳銃で射殺した行為について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、レスリーの工作したシナリオは、「被害者は、自動車を運転中、一時停止標識に従って停止した際、何者かに略取された。レスリーは略取犯の要求に従って身代金30万ドルを提供したものの、被害者は略取犯によって殺害された。その際、レスリーは、警察に協力を仰ぐ等して被害者を心配していた。」というものです。 まず、物語の中で、レスリーは、自白をしていました。そのため、裁判時においても自白がある前提とします。 次に、検察側の証拠としては、自白を含め、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 レスリーの自白(ほぼすべて立証できます) 被害者の遺体、解剖調書、弾道検査報告書 (被害者は190cm以上の長身である) (被害者が撃たれた銃は22口径であり、22口径の銃の弾丸は人体を貫通しない→現場に弾痕等の痕跡が残るのを犯人は嫌がったようである) (弾道は低い位置から高い位置へ流れており、立っていた被害者が座っていた犯人から射撃されたようである→Bと相まって、犯人は、被害者が気を許すような身近な人物のようである) 銀行の記録、マーガレットがレスリーから取得した現金、それらの報告書(身代金とマーガレットの取得した現金の記番号が同一である→レスリーは被害者のために支払ったはずの身代金を所持していた) 現金投下場所の実況見分調書(現金投下場所には、バッグだけが落ちており、中にあったはずの身代金の現金はなかった→略取の犯人にとってはバッグごと持ち去ればよいのに、わざわざバッグから中の現金を抜いて現金のみを持ち去ったことは不自然である→バッグの中には元から身代金が入っていなかった可能性がある) コロンボ証言 「レスリーは、略取されている被害者との通話上で、被害者の身を案じる言葉を発しなかった」(レスリーは被害者を心配していなかった) 「レスリーは、被害者の死亡を知らされて、遺体の発見場所や死因を全く尋ねなかった」(被害者を愛する妻としては不自然であり、レスリーは被害者の死亡を知っていた可能性がある) レスリー友人パット証言「事件の夜にレスリーから頼まれ、翌日にレスリーの職場に架電して一言『テニス』と述べて電話を切った」(略取犯からの最初の架電とされていた架電は、パットによって発信されたものであった) レスリーの職場の電話機、その報告書(レスリーには、好きなタイミングで好きな相手に架電してあらかじめ録音した音声を流すことが可能だった→レスリーには略取の犯人からの脅迫、身代金要求の電話を工作することができた→3~6と相まって、そもそも被害者の略取はレスリーによって捏造された架空の出来事である) 被害者の娘マーガレット・ウイリアムズ(以下「マーガレット」)証言「被害者は、レスリーとの離婚を望んでおり、レスリーと別居して法律事務所も閉鎖するつもりだった。そのことについてレスリーは本意でなかった。」(レスリーには被害者を殺害する動機があった) 被害者車両の実況見分調書(運転席のシート位置が前方に調節されていた→2Aと相まって、最後に運転した者は長身の被害者ではなく、小柄な者であった→最後に運転した者がレスリーであることと矛盾しない) 1自白がある上、3~7が強力な証拠であり、さらに8動機も証明できます。 以上から、証拠は十分といえ、本件は有罪と認定することが可能でしょう。 なお、1レスリーの自白と3現金は、コロンボがマーガレットに協力させてレスリーから不相当な方法で得たものですが、下記のとおりマーガレットがレスリーから金をせしめた行為は、違法であるとまではいえず、証拠能力には影響しないと考えます。 ⑶ レスリーの余罪 物語上のレスリーの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 略取の犯人という架空人名義の身代金要求書を作成した行為について、無印私文書偽造罪が成立します。 拳銃を所持していた行為について、銃刀法上の拳銃不法所持罪が成立します。 アの文書を送付した行為について、無印私文書行使罪が成立します。 被害者の自動車を運転し乗り捨てた行為について、自動車の窃盗罪が成立します。 存在しない被害者の略取を警察に申告して警察に捜査をさせた行為について、偽計業務妨害が成立します。 銀行預金口座を解約したり所有株式を売却したりして身代金30万ドルを工面した行為について、それが被害者所有であった場合、銀行や証券会社に対する詐欺罪が成立します。 マーガレットに対して顔面を殴打した行為について、暴行罪に該当しますが、まさにマーガレットによって拳銃の銃口を向けられて脅迫されている最中に行ったものですので、正当防衛が成立します。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 犯行態様 拳銃で人を撃つという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 被害者から別居と法律事務所の閉鎖を宣言され、地位と財産の保持に固執したことからの犯行であり、自己中心的で、悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、少なくとも、犯行態様と動機は悪質ですし、余罪も多いです。弁護士という法律の専門職でこれを遵守しなければならない立場にある者の犯行であり、その他の情状も悪質です。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。 ⑸ その他のレスリーへの制裁 レスリーは被害者の法定相続人であり、被害者の遺産を相続できるのが原則ですが、被害者を殺害しているので、相続人の欠格事由に当たり、被害者の遺産の相続権を失います。 マーガレットら遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 物語上明らかではありませんが、仮にマーガレット養子縁組していれば、マーガレットから離縁を強いられるでしょう。 所属する弁護士会から懲戒され、おそらく除名となり、弁護士資格を失うでしょう。 弁護士として受任中の業務が継続不能となるため、依頼人から弁護士費用の全部または一部の返金を請求され、さらに場合によっては損害の賠償も請求され、支払わなければならないでしょう。 ⑹ 備考 コロンボの罪責 マーガレットと共謀の上、マーガレットがレスリーに対してけん銃を向け空砲を放った行為について、レスリーの生命、身体に対する害悪の告知にあたり、脅迫罪の共同正犯が成立します。 マーガレットの罪責 レスリーを逮捕されるべく被害者の自動車の鍵の複製した行為について、証拠偽造罪が成立します。 コロンボに対してaによってレスリーが犯人であると申告した行為について、虚偽申告罪が成立します。 コロンボを平手打ちした行為について、公務執行妨害罪が成立します。 上記アと同様、脅迫罪の共同正犯が成立します。 レスリーに対して2万5,000ドルの5年分12万5,000ドルをせしめた行為について、特に暴行、脅迫は認められず、また、レスリーは任意で金員を交付しているので、恐喝罪には該当しないと考えます。 ⑺ レスリーはどうすればよかったか そもそも被害者から別居、離婚等を要求された以上、被害者の意思が変わらない限り、遅かれ早かれ離婚は成立してしまいます。また、被害者は、法律事務所をレスリーに譲るつもりであったようです。レスリー自身も有能な弁護士であったようですので、別居、離婚を受け容れた上で、弁護士としての業務に邁進すべきでした。 ⑻ レスリーに完全犯罪は可能であったか 自白をせず、マーガレットに交付する現金を身代金の記番号と違うものになるよう、マーガレットに支払う金員を自ら借金をして形成するなどしておくべきでした。そうなると、逮捕の決め手となった身代金がなくなり、その余の証拠では、被害者の殺害や一連の略取事件の捏造までは立証できず、完全犯罪となり得ていたでしょう。

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    第03話 構想の死角

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、ケン・フランクリン(以下「フランクリン」)で、「メルビル夫人」シリーズを執筆したコンビ作家の片割れです。もっとも、フランクリンは、実際は執筆する能力がなく、作品を全く書いていません。 第一に、コンビ作家のもう一方の片割れであるジム・フェリス(以下「ジム」)に対し、拳銃で射殺した行為(第1行為)について、殺人罪が成立します。 第二に、食料品店「ラ・サンカ雑貨店」店主のリリー・ラ・サンカ(以下「ラ・サンカ」)に対し、シャンパンの瓶で殴打して撲殺した行為(第2行為)について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、フランクリンの工作したシナリオは、 第1行為については「ジムは、オフィスで仕事をしている最中、何者かに射殺された。その際、フランクリンは、サンディエゴの別荘に居たので、無関係である。」、 第2行為については「ラサンカは、ボートで湖に出たところ、頭を打って湖に落ちて溺死した。」、というものです。 まず、物語の中で、フランクリンは、自白をしたとみていいでしょう。そのため、裁判時においてもフランクリンの自白がある前提とします。 次に、検察側の証拠としては、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 フランクリンの自白(ほぼすべて立証できます) 第1行為について ジムの遺体、その報告書 公園前通り237番地所在のフランクリン自宅の実況見分調書 (高級絵画の真作が多数ある→フランクリンは浪費家である→フランクリンは金に困っていた可能性がある) (配達された手紙の封が開けてある→フランクリンは帰宅後自宅に入る前にジムの遺体を発見したようであるが、通常であればショックと驚愕を感じているはずであり、それにもかかわらず手紙を開封するのは妙である) ジムの妻ジョアナ・フェリス(以下「ジョアナ」)証言 「フランクリンは、『メルビル夫人』シリーズを全く執筆しておらず、ただ、出版社との交渉、テレビ出演、インタビューの応対、映画会社への売込み等を行うのみであった」 「ジムはシリアスな作品の執筆を望み、フランクリンとのコンビの解消をし、既にシリアスな作品の執筆を開始していた(Aと相まって、フランクリンはジムにコンビを解消されると印税等の収入を失い、また、世間はコンビ解消後に作品を発表しないフランクリンについて創作の能力がないと思うはずである) 「ジムは、いつも、創作のアイデアで思い付いたことを、マッチ箱やたばこのケースなどメモしていた」 保険会社記録(フランクリンとジムは、互いに多額の保険をかけ合っていた→ジムが死亡すればフランクリンへ多額の保険が支払われる→Bア、Cイと相まって、フランクリンにはジムを殺害する動機があった) ジムのメモ「AがBを殺すに際し、Bを郊外の別荘に連れて行き、自宅の女房に電話させる。『追い込みの仕事。でオフィスにいる』と。そしてズドン。」(フランクリンの第1行為の内容そのものである) 第2行為について ラ・サンカ遺体(頭部に外傷がある) 「ラ・サンカ雑貨店」実況見分調書 (ダイニングルームの床シャンパンのコルクの栓が落ちている) (「メルビル夫人」シリーズの「殺人処方箋」があり、裏表紙にフランクリンによる「我がリリーへ愛を込めて」とのサインがある) フランクリン名義の預金口座の銀行記録(第2行為の事件の当日1万5,000ドルの引出しがあり、翌日には同額の預入れがある→フランクリンは、何らかの理由で1万5,000ドルが必要がであったが、すぐに必要がなくなったようである→フランクリンがラ・サンカから第1行為についてゆすられており、ラ・サンカを殺害したと仮定すれば、合理的である) コロンボ証言 「ラ・サンカ殺害の夜、フランクリンに宛てて別荘に電話してが、誰も出なかった」(フランクリンには、ラ・サンカ殺害時のアリバイがない) 「サンディエゴの別荘への出発直前、フランクリンはシャンペンを2本用意していた(フランクリンは、サンディエゴの別荘で誰かとシャンペンを飲む予定であったようである→Bアと相まって、フランクリンが「ラ・サンカ雑貨店」でラ・サンカとシャンペンを飲んでいたことと矛盾しない すべてそれ自体脆弱な証拠です。物語上は2Eが決め手となっていますが、フランクリンが自白をしなければ、フランクリンの各犯行を証明できるものでは全くありません。もっとも、フランクリンは自白をしているので、各証拠は自白を補強するものとなり、結局、証拠全体で大きな証明力を得るに至ります。 以上から、証拠は十分といえ、本件は通常なら有罪と認定することが可能でしょう。 ⑶ フランクリンの余罪 物語上のフランクリンの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 拳銃を所持していた行為について、銃刀法上の拳銃不法所持罪が成立します。 ジムのオフィス内の什器備品等を滅茶苦茶にした行為について、器物損壊罪が成立します。 ジムのオフィスで酒を飲んでから自動車を運転した行為について、道路交通法上の酒気帯び運転罪が成立するでしょう。物語上、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態とまでは評価し辛いと感じたので、酒酔い運転罪ではなく、酒気帯び運転罪としました。 ラ・サンカ殺害後にラサンカに渡した1万5,000ドルを窃取した行為について、窃盗罪が成立します。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 第1行為について 犯行態様 拳銃で人を撃つという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 金に困っていたところへ、ジムからコンビ解消を告げられて今後の収入が得られなくなってしまったため、保険金目当てで行った犯行であり、極めて自己中心的で、大変悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 第2行為について 犯行態様 後頭部をシャンペンの瓶で殴打するという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 第1行為についての口止料として金1万5,000ドルを要求されたところ、口封じのための犯行であり、ラ・サンカの要求が恐喝に当たり得ることを考慮すると、やや悪質と評価されるに留まります。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、2人を殺害している上、少なくとも犯行態様と動機は悪質ですし、余罪もあります。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。死刑もあり得ます。 ⑸ その他の犯人への制裁 ジョアナらジム、ラ・サンカの各遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 マスコミによって、全く文章の創作能力がないことが暴露されるでしょう。 酒気帯び運転罪について、体内のアルコール量によって、運転免許停止または取消処分となります。 ⑹ 備考 ラ・サンカがフランクリンに対して第1行為の口止料として1万5,000ドルを要求しこれを受け取った行為について、恐喝罪が成立します。 ⑺ フランクリンはどうすればよかったか ここでは、何とかフランクリンが犯罪の実行を避ける道がなかったか検討します。 まず、そもそも、全く文章の創作能力がないのであれば、ジムとのコンビ作家として世に出ず、持ち前の営業能力を存分に活かすべく、マネージャーとして振る舞うべきでした。 次に、分不相応な贅沢品の購入は控えるべきでした。 そして、ジムからコンビ解消を申し向けられたとしても、これをやむを得ないものとして受け容れ、贅沢品を売却してしばらく生計を立て、持ち前の営業能力を活かす他の道を模索すべきでした。ジムとのコンビ解消の際、ジムとの間で、フランクリンには全く文章の創作能力がないことを口外しないという約束を取り付けることができた可能性もあります。 さらに、ラ・サンカから恐喝された時点で、自首すべきでした。 ⑻ フランクリンに完全犯罪は可能であったか 上記のとおり、証拠はそれぞれ脆弱です。自白をしなければ、完全犯罪となり得たでしょう。

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    第04話 指輪の爪あと

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、ブリマーで、探偵事務所の代表者です。 新聞社代表者アーサー・ケニカット(以下「アーサー」)の妻であり、浮気調査の対象者であったレノーラ・ケニカット(以下「被害者」)に対し、顔面を裏拳打ちによって殴打して後頭部をテーブルに強打させて死亡させた行為について、傷害致死罪が成立します。実行行為は顔面へ裏拳打ちにすぎず危険な凶器を使用する等していませんので、殺意はないものとして、殺人罪にはならず、傷害致死罪にとどまると考えます。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、ブリマーの工作したシナリオは、「被害者は、通りすがりの強盗に襲われた。」というものです。 まず、物語の中で、ブリマーは、自白をしていました。そのため、裁判時においても自白がある前提とします。 次に、検察側の証拠としては、自白を含め、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 ブリマーの自白(ほぼすべて立証できます) 被害者の遺体、実況見分調書、解剖調書、鞄・コンタクトレンズケース及びそれらの報告書 (左頬に裂傷がある→加害者によって左手による裏拳打ちで殴打されたようである→犯人は左利きである) (被害者は近眼であった) (被害者の鞄にはコンタクトレンズケースがあり、中身は空である) (後頭部に打撲がある→Aと相まって、被害者は、裏拳打ちで殴打されて後頭部を強く打って死亡したようである) (遺体は移動させられた形跡がある→通りすがりの強盗であれば被害者の遺体を移動させる理由がなく妙である) ブリマーの指輪、その報告書、鑑定書(2Aの裂傷は、ブリマーの指輪によって生じた傷である) ブリマーについての報告書(ブリマーは左利きである) コロンボ証言 「ブリマーに対して、被害者の遺体の右目からコンタクトレンズが外れていたと述べた」 「ブリマーは、自動車修理工場に忍び込み、自らの自動車のトランクにおいてコンタクトレンズを捜索、発見し、これを持ち去ろうとした」 ケン・アーチャー(以下「アーチャー」)証言 「自分は、被害者と不貞関係にあった」 「被害者と会っていた際、がっしりした体格で海兵隊員のような短髪の男に尾行されていたようであった」 リオ・ジェントリー(以下「ジェントリー」)報告書 (ジェントリーは、ブリマーの探偵事務所に所属する探偵である) (がっしりした体格で短髪である) アーサー証言 「被害者は曲がったことの嫌いな性格だった」 「ブリマーに対して被害者の浮気調査を依頼したところ、『被害者は不貞を行っていない』という調査結果だった」(6B、7Bと相まって、ジェントリーはアーチャーを尾行していたようである→6A、7Aから、ブリマーはアーサーに対して虚偽の報告をした) アーサーと被害者のビーチハウスの留守番係証言「被害者は、事件の夜、週末でもないのに1人でビーチハウスに立ち寄り、『考え事があるので散歩に行く』と言ってでかけた(6、7、8Bと相まって、ブリマーは被害者に対して被害者とアーチャーとの不貞を隠蔽する代わりにアーサーの得ている情報を明かすよう要求した可能性がある→8Aと相まって、被害者はブリマーの要求を断った可能性がある→かかる経緯で本件が起こった可能性がある) ジェントリー妻証言「ジェントリーは、ブリマーから急に任務を与えられ、パスポートを持って出かけたので、おそらく海外に行ったようである」(あたかもジェントリーが被害者とアーチャーを尾行していたことを秘匿するかのようなタイミングでの命令である) 1自白がある上、2AD、3が強力で、さらに、5Bのブリマーの言動もブリマーが被害者を殺害してその遺体を運搬した犯人であるとしてはじめて説明可能なものであり、やはり強力です。他の証拠も、1自白をよく補強します。 以上から、証拠は十分といえ、本件は有罪と認定することが可能であるように思えます。 もっとも、1自白や、5Bは、コロンボがブリマーに対して被害者の右目のコンタクトレンズが外れていると欺罔し、なおかつ、ブリマーの自動車の排気管にじゃがいもを突っ込んで当該自動車のエンジンをかからなくさせたことによって得られたもので、捜査の適法性やその証拠の影響が問題となり得ます。この点、欺罔は、ブリマーの供述の自由を侵害するものでもなく、虚偽自白も危険もなく、違法とまではいえず、上記の証拠の証拠能力には影響はないでしょう。他方、ブリマーの自動車のエンジンをかからせなくさせたことについては、後述のとおり、器物損壊罪や威力業務妨害罪にも当たるため、完全に違法です。そして、5Bはこのような違法な捜査手法から直接引き出され、なおかつ、1自白も5Bから直接引き出されたものです。そのため、コロンボによるブリマーの自動車の排気管にじゃがいもを突っ込んで当該自動車のエンジンをかからなくさせた捜査の違法性は、1自白や5Bに影響し、これらの自白の証拠能力が失われるでしょう。ただ、そうだとしても、なお、2AD、3は依然として強力であるので、結果として有罪認定は可能でしょう。 ⑶ ブリマーの余罪 物語上のブリマーの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 拳銃を所持していた行為について、銃刀法上の拳銃不法所持罪が成立します。 被害者に対して、アーサーに被害者のケン・アーチャーとの不貞関係を暴露すると脅して、アーサーから州知事選挙の支持者に関する情報等を提供するよう強要した行為について、結果として情報の提供には至らなかったため、強要未遂罪が成立します。 アーサーに対して、自らが被害者殺害の犯人であるにもかかわらずこれを秘して犯人特定の調査を行うと申し込み、アーサーを承諾させ調査費用を得た行為について、詐欺罪が成立します。 自動車修理工場への侵入のためにピッキング用具を所持していた行為について、ピッキング防止法上の特殊開錠用具所持罪が成立します。 自動車修理工場に侵入した行為について、建造物侵入罪が成立します。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 犯行態様 顔面を裏拳打ちするという危険な行為をして、後頭部をテーブルに強打させているものの、凶器等は用いておらず、特に悪質でも良質でもなく、平均的な程度です。 動機 被害者から情報の提供依頼を拒絶されたことに加え、アーサーに対しアーサーへ虚偽の調査報告を行ったこと、被害者に強要を行ったことを暴露すると申し向けられ、自らの営む探偵業が破綻することに思いを馳せると同時に、逆上して行った犯行であり、大変悪質です。 結果 死因は強度の脳震盪で、頬に裂傷もあり、大変悪質です 以上のとおり、少なくとも、動機と結果は悪質ですし、余罪も多いです。探偵としての職業意識も薄く、その他の情状も悪質です。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。 ⑸ その他のブリマーへの制裁 アーサーら遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 アーサーから被害者の浮気調査の依頼を受け、なおかつ、被害者がアーチャーと不貞を行っていることを知りながら、アーサーに対して被害者が不貞をしていないとの虚偽の報告をしているので、探偵調査契約の債務不履行となり、アーサーに対して、調査費用の返還と、アーサーに生じた損害を賠償しなければならないでしょう。 公安委員会から探偵業の営業廃止命令等の監督処分を受け、今後、探偵業を営むことができなくなるでしょう。 デニングによれば、デニング、ブルックス、リオ・ジェントリー、ウィルコックスら探偵事務所従業員に対して頻繁に声を荒げているようですので、パワーハラスメントにあたり、慰謝料を支払わなければならないでしょう。 ⑹ 備考 コロンボの罪責 右テールランプの切れた整備不良の自動車を運転した行為について、道路交通法上の整備不良車両運転罪が成立します。 ブリマーの自動車の排気管にじゃがいもを突っ込んでエンジンをかからせないようにした行為について、器物損壊が成立します。さらに、ブリマーの所有自動車の台数が少なく、当該自動車を修理に出すことでブリマーの探偵業務に支障をきたし得る等の事情があれば、偽計業務妨害罪も成立します。 被害者がブリマーの自宅に侵入した行為について、住居侵入罪が成立します。 ⑺ ブリマーはどうすればよかったか アーサーはブリマーを信用していたようでしたので、被害者の浮気調査の結果をありのまま報告すべきでした。アーサーはこれによってますますブリマーを信用し、被害者を経由するまでもなく、ブリマーが直接アーサーから情報を得られる可能性もあったかと思います。 ⑻ ブリマーに完全犯罪は可能であったか 上記のように1自白と⑤5ABの証拠能力が否定されるのであれば、最重要の証拠は2AD、3となります。そして、犯行後すぐに3指輪を処分していれば、2ADのみでは犯行とブリマーとの結付きがなく、完全犯罪となり得たでしょう。

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    第05話 ホリスター将軍のコレクション

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、マーチン・J・ホリスター(以下「ホリスター」)で、元軍人の会社代表者です。 ホリスターの会社と取引関係にあった軍の調達局の調達部長ロジャー・ダットン大佐(以下「被害者」)に対し、拳銃で射殺した行為について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、ホリスターの工作したシナリオは、「自分は、バスローブを着たり軍服を着たりしていて、射撃練習用の22口径の拳銃を手に取っていたところ、箱につまづいて転倒した。目撃者はその場面を見間違え、ホリスターが軍服姿の男を射殺したものと誤解した。また、ホリスターは、被害者の射殺に用いられた45口径の拳銃を所持しておらず、海兵隊幹部学校メモリアルホール陳列室へ寄贈したコルトの45口径の真珠付き拳銃は、発射のできない複製である。」というものです。 まず、物語の中で、ホリスターは、自白をしたとみていいでしょう。そのため、裁判時においても自白がある前提とします。 次に、検察側の証拠としては、自白を含め、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 ホリスターの自白(ほぼすべて立証できます) 被害者の遺体、弾丸、実況見分調書、解剖調書 (銃撃され、弾丸が体内に残っている) (遺体は、錘を付けられて海に沈められたようであるが、錘のロープが切れて海上に浮いてきた) (遺体は、マレゴ湾の南で発見された) ホリスター報告書 (ホリスターの住所) (ホリスターの自宅は海沿いにある) (ホリスターはヨットを所有しており、自宅近所のヨットハーバーに停めている) ヘレン・スチュワート(以下「スチュワート」)証言 「3ABのホリスターの住所地の住居内で、バスローブの男が軍服姿の男を拳銃で射撃し、軍服姿の男が倒れたところを見た」 「自分の視力は正常である」 コルトの45口径の真珠付きの拳銃(凶器) コルトの45口径の真珠付きの拳銃の報告書 (5拳銃は、ホリスターから海兵隊幹部学校メモリアルホール陳列室へ寄贈され、陳列されている→5拳銃は、ホリスターが所持していた) (発射が可能である) 弾道検査報告書(2Aの弾丸は、5拳銃から発射されたものである→4、6と相まって、5拳銃を発射して被害者を射撃したのはホリスターである) ホリスターの会社報告書 (軍との取引が多く、直近2~3年で取引件数は大きく伸びている) (警視総監による調査の対象となっており、近々に調査が予定されていた) 被害者報告書、被害者所有自動車車検証 (被害者は、軍の調達局の調達部長で、軍がホリスターの会社と取引を行う際には、軍の取引担当者となっていた) (被害者は、死亡直前、休暇を取得し、スイス行きの飛行機を予約していた) (被害者の所有する自動車の車種、色) コロンボ証言 (被害者が失踪した翌朝、ホリスターは早朝ヨットで航海していた) (被害者の失踪直前、ホリスターの自宅脇に自動車が駐車されていた→9Cと相まって、当該自動車は被害者所有のものである可能性がある→被害者は、失踪直前、ホリスターの自宅に居た可能性がある) 実験結果報告書(ホリスターのヨットのあるヨットハーバーの沖に物を投棄すると、潮の流れにより、マレゴ湾の南に流れ着く→2C、10Aと相まって、ホリスターが被害者の遺体をヨットハーバー沖で遺棄した可能性が高い) 監査報告書(ホリスターと被害者は癒着しており、ホリスターの会社から軍に対して過剰請求があったり、軍からホリスターへ事前に入札予定価格の漏洩があったりした→8B、9Bと相まって、ホリスターも被害者も罪を問われることとなるため、被害者は逃亡しようとしていたようである→ホリスターには自らの保身のために被害者の口を封じるべく被害者を殺害する動機があった) 1自白がある上、2A・5~7の拳銃関連証拠、4スチュワートの目撃証言が大変強力である上、12で動機も証明でき、他の証拠も1自白をよく補強しています。 以上から、証拠は十分といえ、本件は有罪と認定することが可能でしょう。 なお、コロンボはホリスターのヨットを無令状で捜索、検証したようですが、そこからは何も証拠となるものがない上、ホリスターも事後的に承諾しているので、問題はないでしょう。また、コロンボはホリスターの知らないところで5拳銃と2A弾丸の弾道検査を行っていますが、5拳銃は海兵隊幹部学校メモリアルホール陳列室にあったものですので、さすがに令状は取られていると思われます。 ⑶ ホリスターの余罪 物語上のホリスターの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 銃器、軍刀等を所持していた行為について、銃刀法上の銃砲、刀剣類等不法所持罪が成立します。 被害者から入札予定価格を聞いて入札した行為について、偽計公契約関係入札妨害罪が成立します。 被害者を通じて軍に過剰請求をした行為について、詐欺罪が成立します。 被害者も軍に対して背任罪の罪責を負うところ、その共同正犯となります。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪と認定されるでしょう。その上で、有罪とした場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 犯行態様 拳銃で人を撃つという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 被害者を通じて軍を相手に不正な取引をして経済的利益を得ておきながら、それが発覚しそうになったところで、自らの保身のために情を知る被害者を口封じのために殺害したものであり、自己中心的で、大変悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、少なくとも、犯行態様と動機は悪質ですし、余罪については不正な経済的利益が多額にのぼると思われます。また、元軍人として軍、ひいては国の利益を擁護すべき立場にありながら、軍の経済的利益を損ない多額の損害を与え、なおかつ、税金をいたずらに浪費させています。有罪と認定されれば、量刑は大変厳しいものとなるでしょう。 ⑸ その他のホリスターへの制裁 被害者の遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 会社ともども、軍に対して多額の損害賠償義務を負い、破産することになるでしょう。それにもかかわらず、ホリスターの債務は免責されないでしょう。 勲章を多数授与されているようですが、褫奪されるでしょう。 当然ですが、スチュワートとの恋愛は成就しないでしょう。 ⑹ 備考 コロンボの罪責 部下にホリスターのヨット内に立ち入らせた行為について、艦船侵入罪の共同正犯が考えられますが、ホリスターの推定的同意があると解されますし、平穏な立入りであったでしょうから、同罪は成立しないと考えます。 被害者の罪責 ホリスターと共謀してホリスターの会社に入札予定価格を明らかにしたり、ホリスターの会社からの過剰請求に応じた行為について、背任罪が成立します。 ホリスターの偽計公契約関係入札妨害罪、詐欺罪について共同正犯となります。 ⑺ ホリスターはどうすればよかったか 不正な取引を認めて自首して減軽を得る途を模索すべきでした。 また、被害者を殺害するよりは、被害者と一緒にスイスに逃亡する等した方がまだよかったです。 ⑻ ホリスターに完全犯罪は可能であったか ブラインドやカーテンを下ろしてスチュワートに見られないように犯行を行い、拳銃はすぐに廃棄し、さらに被害者の遺体を焼却等して発見できないようにすれば、有力な証拠はなくなり、完全犯罪となり得ていたでしょう。

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    第06話 二枚のドガの絵

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、デイル・キングストン(以下「キングストン」)で、美術評論家です。 第一に、叔父ランディ・マシューズ(以下「ランディ」)に対し、拳銃で射殺して2枚のドガのパステル画を強取した行為(第1行為)について、強盗殺人罪が成立します。 第二に、交際相手で美術学生のトレーシー・オコーナー(以下「オコーナー」)に対し、石で殴打して撲殺した行為(第2行為)について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、キングストンの工作したシナリオは、 第1行為については「午後11時ころ、ランディは、ランディの所有する絵画を奪取しようとした強盗によって、殺害された。その際、キングストンは、マチルダ・フランクリン(以下「マチルダ」)の画廊のパーティに出席していたので、無関係である。また、ランディは自身の所有する絵画すべてをエドナ・マシューズ(以下『エドナ』)に遺贈する旨の遺言を遺しており、キングストンはそのことをランディから知らされていた。そのため、キングストンがランディを殺害しても絵画はすべて結局エドナのものとなるので、キングストンが絵画欲しさにランディを殺害する動機はない。ランディを殺害したのは、すぐに財産を欲しがったエドナである。」、 第2行為については「オコーナーは、自動車の運転を誤り、自動車ごとマリブヒルの崖から転落して死亡した。」、というものです。 まず、物語の中で、キングストンは、観念した様子を見せたものの、自白はしていません。そのため、裁判時においても自白がない前提とします。 次に、検察側の証拠としては、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 第1行為について ランディの遺体、弾丸、実況見分調書、解剖調書、報告書 38口径リボルバー式拳銃、弾道検査報告書(ランディが被弾した弾丸は、当該拳銃から発射されたものである) エバンズ夫妻「事件前に帰宅するときに、ランディ自宅の戸締りを行った」 犯行現場実況見分調書 (裏口ドアは開いていた→Cアと相まって、ドアを開けたのは犯人である可能性が高い→犯人は出入りに裏口ドアを利用したようである→プロであればドアよりも窓から出入りするのが通常であるため、犯人はプロではないようである) (警報装置は鳴らなかった) (二枚のドガのパステル画があったが、亡失している) (バーンバウムの絵画が展示場所から外されていた→ウと相まって、強盗が犯人だとすれば、当初から2枚のドガのパステル画に狙いを定めればよいものを、いったんはドガのパステル画よりも価値の低いバーンバウムの絵画を手にかけており、不自然である) (2階に電気毛布がある→ランディの遺体を温めることができる→ランディの死亡推定時刻を本来よりも遅く作出することができる) 警報装置メーカー報告書(Dアの裏口ドアを外側から開ければ必ず警報が鳴る→Dアと相まって、犯人は内側からドアを開けたようである→犯人は、ランディの身近な者である可能性がある) 警備会社報告書(1時間おきにガードマンがランディ自宅をパトロールしている) 実験結果報告書(ハイヒールを履いた女性捜査員がランディ自宅裏口ドアから走らせ、足音を録取) 警備会社ガードマン証言 「Fに基づきランディ自宅をパトロールしたとき、銃声を聞いてランディ自宅内に入ったところ、裏口ドアから犯人らしき者の逃げる足音を聞いた」 「アの足音は、Gとほぼ同じだった」 弁護士フランク・シンプソン証言 「自分はランディの遺言作成に携わった」 「ランディは、いったんは全財産をキングストンにと相続させる旨の遺言を遺したが、死亡の1か月前に、所有絵画はすべてエドナへ遺贈するよう変更した」 ランディ作成のキングストン宛書簡(ランディはIイの遺言変更の事実をキングストンに知らせた) エドナ証言 「ランディの所有する絵画は、ほとんどキングストンが買い揃えたものである」 「ランディは、絵画の盗難防止、保存等の労力で疲れ、また、芸術品を個人の所有物にすべきではないという思いに至り、所有絵画を各所へ寄贈することに決め、それを自分に託すべく、Iイの遺言の変更を行った」(Iイ、J、Kアと相まって、キングストンは、猛反発したはずである→法律上、エドナがランディを殺害すればIイの遺言にもかかわらずエドナはランディの絵画を受贈できなくなり、原則に戻ってキングストンがランディの絵画を相続することになる→キングストンがランディを殺害してその罪をエドナに着せる動機となる) マチルダ証言「パーティには、サム・フランクリン(以下「サム」)の絵画を多く飾っていた」 コロンボ証言 「キングストンは、サムの絵画を酷評していた」(Lと相まって、キングストンがサムの絵画が多く飾られていたマチルダの画廊のパーティに行ったのは不自然である) 「自分は、キングストンの自宅で、キングストンが持ち帰った水彩画なる2枚の絵画に触れた」 「イのとき以外に2枚のドガのパステル画に触れたことはない」 2枚のドガのパステル画、指紋採取報告書、指紋鑑定書(コロンボの指紋が付着している→Mウと相まって、2枚のドガのパステル画は、Dウの亡失の後、キングストンが所持していた→キングストンがランディから2枚のドガのパステル画を持ち去った可能性が高い→Iイ、Kイと相まって、キングストンが2枚のドガのパステル画を持ち去ることをランディが認めることは考え難く、キングストンがランディを殺害した可能性が高い) 画廊の駐車係ジョー証言 「マチルダの画廊のパーティで、キングストンの自動車を停めた」 「キングストンは腕時計が狂っていると言って自分に時間を尋ねてきたので、午後10時50分だと教えた」 画家サム証言 「自分がマチルダの画廊のパーティに居たとき、キングストンも来た」 「キングストンは腕時計が狂っていると言って自分に時間を尋ねてきたので、午後10時55分だと教えた」(Oイと相まって、キングストンがわずか5分間という短時間で立て続けに時間を尋ねることは不自然である→L、Mアと相まって、キングストンは、アリバイ作りのために、自身がマチルダの画廊のパーティに居た時間を証明してくれる証人を生み出すべく、敢えてジョーやサム・フランクリンに時間を尋ねた可能性がある) 第2行為について オコーナーの遺体、報告書 美術学校記録 (オコーナーが在籍している) (キングストンは、ランディ死亡の2か月前に、講義をしている→キングストンとオコーナーは互いに面識がある可能性がある) 第1行為については、Lイウ、Mが強力で、ⒾⒿで動機も一応は証明できます。そのため、第1行為については、何とか有罪と認定することが可能でしょう。 第2行為については、証拠はほぼ存在しないに等しいレベルです。そのため、第2行為については、このままだと、有罪の立証ができず、無罪となるでしょう。ただ、キングストンは観念はしている状態であったので、物語のその後のコロンボら捜査担当者の取調べや捜査に期待するしかありません。 ⑶ キングストンの余罪 物語上のキングストンの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 38口径のリボルバー式拳銃を所持していた行為について、銃刀法上の拳銃不法所持罪が成立します。 ランディの自宅は賃借物件のようですので、居宅内の物を破壊したり、窓の鍵を傷つけたりした行為について、器物損壊罪、建造物損壊罪が成立します。 オコーナーの自動車をマリブヒルから落とした行為について、器物損壊罪が成立します。 エドナの自宅にランディ宛の郵便物の包装紙を置いたり、2枚のドガのパステル画を置いたりした行為について、それぞれ証拠偽造罪が成立します。なお、38口径リボルバー式拳銃をエドナの自宅近所の丘に置いた行為は、エドナへと直接結びつくわけではなく、証拠偽造罪は成立しないでしょう。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 第1行為について 犯行態様 拳銃で人を撃つという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 絵画がエドナに遺贈されると知って、それを諦めきれず、ランディを殺害してそれをエドナのせいにしようとしたものであり、極めて自己中心的で、大変悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 第2行為について 犯行態様 石で殴打するという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 オコーナーが第1行為後にキングストンに連絡を取ってきたことを背景に、口封じのためになされた犯行と解され、極めて自己中心的で、大変悪質です。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、2人を殺害している上、少なくとも犯行態様と動機は悪質ですし、余罪もあります。有罪と認定されれば、量刑は厳しいものとなるでしょう。死刑もあり得ます。 ⑸ その他の犯人への制裁 キングストンはランディの法定相続人であり、ランディの遺産を相続できるのが原則ですが、ランディを殺害しているので、相続人の欠格事由に当たり、ランディの遺産の相続権を失います。 オコーナーの遺族から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。他方、ランディにはキングストン以外親族がいないようですので、損害賠償義務はありません。 出演していた16チャンネルのテレビ番組「デイル・キングストンの美の世界」の続行が不可能となり、放送会社やスポンサーから民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 ⑹ 備考 オコーナーがキングストンのランディへの強盗殺人に関して、電気毛布をしまう、警備会社のガードマンに聞こえるように拳銃を撃つ、2枚のドガのパステル画を預かる等の行為は、キングストンの犯行に不可欠なものであり、それもキングストンの好意を惹くためと解せられ、自分の利益のために上記行為を行っているので、上記行為について、幇助犯にとどまらず、強盗殺人の共同正犯が成立します。 ⑺ キングストンはどうすればよかったか ここでは、何とかキングストンが犯罪の実行を避ける道がなかったか検討します。 ランディの絵画がエドナに遺贈されたという現実と向き合い、ランディと話し合って、絵画を自分が相続する旨遺言を再び変更してもらうよう、説得すべきでした。 そうでなくても、自身の本来の評論の仕事で稼ぐなり、オコーナーに才能があればオコーナーのよき理解者兼マネージャーとなってオコーナーの作品売却で稼ぐなりし、自身の財産で絵画を収集すべきでした。 ⑻ キングストンに完全犯罪は可能であったか 自白がないのはキングストンには大変有利です。 コロンボに2枚のドガのパステル画を触らせなければ、強力なMイウ、Nがなくなることとなり、完全犯罪となり得たでしょう。

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    第07話 もう一つの鍵

    ここでは、日本の法律に依拠します。また、コロンボは殺人課の刑事ですので、当然、物語上の犯行はほとんど殺人となるため、ここでは、被害者の命を奪った犯行を中心に記載します。いわゆるネタバレが含まれていますので、お気をつけください。なお、あらすじや事件の背景については、コロンボブログの偉人であるぼろんこさんのブログをご参照ください。 ⑴ 事案の概要 犯人は、エリザベス・チャドウィック(以下「ベス」)で、広告会社代表者ブライス・チャドウィック(以下「被害者」)の妹で、同社役員です。 兄であり広告会社代表者である被害者に対し、拳銃で射殺した行為について、殺人罪が成立します。 ⑵ 有罪認定の可否 それでは、この事件が刑事裁判となった場合に、有罪と認定することができるかどうか検討していきます。 なお、ベスの工作したシナリオは、「木曜日、自分は睡眠薬を飲んで熟睡していた。他方、被害者は、玄関で鍵を地面へ落としてしまったが、玄関の灯の電球が切れており、見つけ出すことができず、仕方なくベスの部屋からガラスを割って自宅に侵入しようとした。しかし、ベスの部屋の警報装置が作動して警報ベルが鳴ったため、ベスは、被害者を強盗等と誤認し、被害者を射殺してしまった。この行為について、殺人罪は誤想防衛によって成立せず、過失致死罪が成立するにすぎない。」というものです。 まず、物語の中で、ベスは自白をしたとみていいでしょう。そのため、裁判時においても自白がある前提とします。 次に、検察側の証拠としては、自白を含め、以下のものが考えられます。なお、括弧の中は、当該証拠から認定され得る事実です。 ベスの自白(ほぼすべて立証できます) 被害者の遺体、実況見分調書(靴の底は綺麗で芝は付いていない) 犯行現場実況見分調書 (ロビーにその日の最終版の夕刊がある→夕刊はその日の最終版であるため配達されないものであるところ、ベスは当日外出していないのでベスが持ち込んだものではなく、被害者が持ち込んだものである→被害者は玄関から入った可能性がある) (玄関からベスの部屋に通じる唯一の道の上には芝がある) (玄関に植木がある→土が固くなっており、鍵の形の凹みがある→植木に自宅玄関のスペアキーが置いてあった可能性がある) (玄関の灯に100ワット電球が用いられており、切れてはいるが、綺麗な状態である→100ワット電球は通常の使用で750時間もつので、1日8~9時間使用していたとして、2か月半はもつはずである→当該100ワット電球は2か月半以上使用されたはずであるが、全く汚れておらず、不自然である→誰かが近時切れた電球を装着した可能性がある) 召使チャールズ証言 「被害者の死亡した当日夜から休暇のため不在にしていた」(チャールズの不在の間を狙ったかのようなタイミングで事件が起きており、被害者の死亡は事故ではなく作為によるものである可能性がある) 「毎週木曜日に芝刈りをする」(2、3ABと相まって、被害者はベスの部屋を通らずに玄関から入ったと思われる) ピーター・ハミルトン(以下「ハミルトン」)証言 「ベスと交際していたが、被害者に反対されていた」(ベスに被害者を殺害する動機がある) 「被害者からベスと別れないと解雇すると言われ、頭に来て被害者とベスの自宅へ行った」 「被害者とベスの家で、銃声を3発聞き、その後に警報ベルが鳴った」(2、3A、4と相まって、被害者が玄関から入って警報ベルが鳴らなかったにもかかわらず、ベスは被害者を拳銃で撃った→ベスは誤想防衛を装って被害者を射殺した可能性がある) 被害者とベスの母証言「ベスは、広告会社の名目的取締役にすぎず、広告会社の業務には一切関与していなかった」(ベスは、自らが広告会社の代表者なるべく、被害者を殺害する動機があった) 自動車ディーラー記録(ベスは被害者死亡の1か月前に高級自動車の新車を予約した→ベスには高額な購入代金を取得するあてがあった→ベスは従前から被害者を殺害するつもりであったようである) すべてそれ自体脆弱な証拠です。物語上は5Cが決め手となっていますが、ベスがガラスの向こうに被害者を見て被害者を拳銃で撃ち、被害者が倒れこんだ勢いでガラスが割れたということもあり得るので、ベスが自白をしなければ、ベスの犯行を証明できるものでは全くありません。もっとも、ベスは自白をしているので、各証拠は自白を補強するものとなり、結局、証拠全体で大きな証明力を得るに至ります。 以上から、証拠は十分といえ、本件は通常なら有罪と認定することが可能でしょう。 ただし、物語上、ベスは過失致死罪となり刑事裁判が終了しているので、同一事件について再度の起訴ができないという一事不再理効が働き、ベスを再度裁くことはできないと考えます。そのため、ベスが再度起訴されて裁判にかけられても、判決で免訴を言い渡されることになります。コロンボはベスを逮捕していましたが、どのような理屈でベスの罪を再び問えるのか謎です。 なお、コロンボはベスと被害者の自宅玄関先の電球を無断で持ち去っていますが、これは完全に違法で、その違法性は令状主義の精神を没却しますし、将来の違法捜査抑制の点からも不当です。もっとも、3Dの証拠はこの違法捜査の前に適法に収集されていますので、ほぼ影響はありません。また、コロンボは終盤に被害者とベスの自宅の合鍵を作ってベスの承諾なく建物内に立ち入っていますが、逮捕段階でしたので、さすがに令状を取っていると思われます。 ⑶ ベスの余罪 物語上のベスの他の行為について、ほかにいかなる犯罪が成立するか検討します。なお、ほかの犯罪はメインの罪ではないので、証明できるか、有罪と認定できるか等については、割愛します。 被害者から鍵を窃取した行為について、窃盗罪が成立します。ただし、親族相盗例によって処罰はされません。 拳銃を所持していた行為について、銃刀法上の拳銃不法所持罪が成立します。 玄関先の電球を投げつけて割った行為について、当該電球は母所有と考えられるので、器物損壊罪が成立します。 コロンボに拳銃の銃口を向けた行為について、殺人未遂罪が成立します。 ⑷ 情状 上記のとおり、本件は有罪となる可能性が高いと思いますが、その場合の情状について検討します。情状は、通常、犯行態様、動機、結果がどうであったかという観点で評価します。 犯行態様 拳銃で人を撃つという大変危険な行為をしており、悪質です。 動機 恋愛等の自由を抑制する兄を邪魔に感じて殺害したものであり、自由を抑制されていたことは、一定程度ベスにとって有利な事情となります。もっとも、ベスとしては兄に依存する生活を変更すればよかったにすぎず、情状面で大きな影響力まではありません。 結果 死因は、物語上明らかにされていません。 以上のとおり、犯行態様は悪質で、動機はベスにとって有利な事情となるものの情状面で大きな影響力まではありません。そのため、仮にベスを裁けるとすれば、量刑は、やや厳しいものになるでしょう。 ⑸ その他のベスへの制裁 遺族である母から、民事上の損害賠償を請求され、支払わなければならないでしょう。 広告会社の代表者ですが、代表取締役を解職されるでしょう。 母は広告会社の大株主のようですので、母の意思によって取締役を解任されるでしょう。そして、解任には正当な理由があるので、解任時から本来の任期満了までの間の報酬請求権は消滅します。 物語上既に兆しがありましたが、常識的に考えて、ピーターから婚約を解消されるでしょう。 ⑹ 備考 コロンボの罪責 ベスと被害者の自宅玄関先から電球を無断で持ち去った行為について、窃盗罪が成立します。 被害者について ハミルトンに対してベスとの交際を禁じ、これを破れば解雇すると述べた行為は、ベスとの恋愛は解雇理由にはならないため、違法なパワー・ハラスメントになると考えます。そのため、ハミルトンは、広告会社に対して、慰謝料請求、処遇改善請求を行うことができます。 ⑺ ベスはどうすればよかったか そもそもベスは、名目的な取締役で何ら努力をしていないにもかかわらず、上流階級の暮らしをしていました。その中で不満がなければ問題はなかったのでしょうが、その中で不満を抱く以上は、上流階級の暮らしを捨ててでも自身の幸福を追求すべきでした。幸いにもハミルトンは真摯にベスを愛していたようですので、ベスは、広告会社取締役を辞任し、同じく広告会社を辞職したハミルトンと婚姻し、新たな幸福を模索すべきだったでしょう。また、ハミルトンは有能なようなので、ハミルトンと一緒に新たな道を進んでも、ハミルトンは一定の経済力を得て経済的に困窮することはなかったように思います。 ⑻ ベスに完全犯罪は可能であったか 被害者を死亡させたこと自体は、被害者の遺体等の証拠もあるので、ベスの行為には、少なくとも過失致死罪は成立します。 もっとも、殺人罪については、情況証拠しかなく、また、5Cハミルトンの証言もほとんど証明力がないので、1ベスの自白がなければ、認定するのは無理でしょう。

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